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連載第21回目のテーマは、労働組合・労働者代表です。

今回は、労働組合の残りとして、最大代表労働組合について説明します。

1.最大代表労働組合とは?

労働法にも代表労働組合に関する記載はありましたが、新労働組合法は、「最大代表労働組合」(Most Representative Labor Union)として、大きな権限を付与しました。

最大代表労働組合は、各企業又は事業所単位でその地位が認められます(労働組合法54条1項)。

2.最大代表労働組合となるための要件

まず、労働組合となるためには、労働省に登録されなければなりません(同法11条)。その上で労働省から、最大代表労働組合としての認証を受ける必要があります(同法56条、57条)。

労働組合法は、以下の通り、最大代表労働組合となるための要件を定めています(同法54条2項)。

・組合員に職能、文化及び教育サービスを提供することを示すプログラムを有し、実践していること
・組合員証を保有する最も多くの組合員の正確な一覧表を有していること
・企業又は事業所において、以下の割合を超える最も多くの組合員からの投票を得ていること
①企業内の組合数が1つだけの場合:全労働者の30%以上が組合員であること
②2つ以上の場合:
他の組合からの支持を含めると、全労働者の30%以上の組合員から指示を受けていること

3.最大代表労働組合の権限

最大代表労働組合は、以下の権限を有します。

・集団的労働紛争を処理する独占的権限(同法55条)
・団体交渉及び労働協約に関する独占的権限(同法55条、58条)

他方、労働組合法59条は、最大代表労働組合が存在する場合のそれ以外の少数組合の権限・役割について規定しています。
これによると、少数組合は、最大代表労働組合が団体交渉によって締結した労働協約が規定する権利・給付について自己の組合員を代表することができるだけであり、条件について再交渉や変更を試みるなど、団体交渉権を有しません(同法50条、59条)。

連載第21回目のテーマは、労働組合・労働者代表です。

今回は、労働組合について説明します。

1.労働者の権利

労働者には、自由に労働組合を結成する権利(労働法266条1項)、労働組合に加入する権利(労働法271条、労働組合法5条)、労働組合に加入しない自由・労働組合から脱退できる自由(労働法273条、労働組合法7条)が認められています。

労働者は、加入組合及び使用者に署名・拇印を押印した書面を提出することで当該組合から脱退することができます(労働組合法7条2項)。

2.労働組合の登録

労働組合が法律上の権利・利益を享受するためには、労働省に登録しなければならず(労働組合法11条)、登録されていない又は登録を取り消された組合は違法とみなされます(労働組合法14条2項)。

登録されている労働組合については、組合規則や組合長の名前等の情報が管轄の労働局に記録されますので、会社としては労働局でこれらの情報を調査することが可能です。

労働組合が登録を維持するためには、年次の財務諸表・活動報告書を組合員に開示し、その写しを翌年の3月末までに労働省に提出すること等を行わなければならず、労働省からの厳しい監督下に置かれることになります(労働組合法17条)。

労働裁判所(現時点では未設置)は、労働組合の登録を取り消す権限を有しており、労働省は労働裁判所に対して労働組合の取り消しを求めて訴えることができます(労働組合法19条)。

3.組合費

組合費は通常、労働組合の組合員である各労働者から当該労働組合に対して直接支払われますが、労働者が書面で申請した場合、使用者は、給料から差し引いて組合費をその所属組合に対して直接支払うことができます(労働法129条1項、労働組合法26条)。

 

今年6月、カンボジアでは労働組合法が成立・施行されました。

新労働組合法は100条からなり、労働者の労働組合に関する権利、労働組合の組織・登録、労働者代表、最大代表労働組合(Most Representative Labor Union)、不当労働行為、労働協約・団体交渉、罰則等について規定しています。

重要な点としては、

・登録されていない・登録を取り消された労働組合は違法であること
・登録されている労働組合については、組合規則や組合長の名前等の情報が管轄の労働局に記録されていること

最大代表労働組合のみが使用者との団体交渉権を有すること
・最大代表組合の要件・登録制

・罰則が明示されていること

が挙げられます 。
特に、最大代表労働組合のみが団体交渉権を有するという点は、使用者が最大代表労働組合だけと団体交渉をすればよいという点で重要です。

参照:国際労働財団HP(労働組合法(英訳版))

カンボジアは日曜日から1年の代表的行事である水祭りが始まります。労働省からは水祭り休暇に関する告示(322号)が出ていますので、以下、紹介します。

− 使用者は、水祭り休暇として13、14、15、16日を休日とするよう求める(但し、16日は13日(日)の振替休日)。

− 使用者は、水祭り期間中に業務を中断することができない場合であっても、労働者に水祭り期間中に任意で働いてもらえるよう交渉しなければならない。

− 労働者は、水祭り休暇中に任意に労働する場合、通常の賃金と同額の手当を受けることができる。

閣僚評議会から2017年度の祝日が発表されました。
2017年度の祝日は27日間と予定されています。
5月14日はシハモニ国王誕生日と王室始耕祭で祝日が重なる形となっていますが、現在のところ、振替等に関する取扱いについては明らかになっていません。

1月1日 インターナショナルニューイヤー
1月7日 ポル・ポト政権からの開放日
2月11日 万仏節
3月8日 国際女性の人権の日
4月14日、15日、16日 クメール正月
5月1日 メーデー
5月10日 仏誕節
5月13日、14日、15日 シハモニ国王誕生日
5月14日 王室始耕祭
6月1日 国際子どもの日
6月18日 モニーク前王妃誕生日
9月19日、20日、21日 プチュン・バン(お盆)
9月24日 憲法記念日
10月15日 シハヌーク前国王追悼日
10月23日 パリ和平協定締結記念日
10月29日 シハモニ国王戴冠記念日
11月2日、3日、4日 水祭り
11月9日 独立記念日
12月10日 国際人権の日

本年9月29日付で2017年度の最低賃金に関する労働省令が公布されましたので、以下、内容を紹介・解説します。

・2017年度の縫製・製靴業における労働者の最低賃金は月額153ドル(試用期間中については月額148ドル)とする(第2条)。
この点、労働仲裁判断によれば、上記最低賃金額に関する規制は他業種にも準用されます。

・その他の手当はこれまで通りとする(第3条)。

・本最低賃金に関する規制は、2017年1月1日から有効となるものとする(第4条)。

・本省令の内容に違背する法規は無効とする(第5条)。

上記の通り、2017年度の最低賃金は本年度の月額140ドルから約9.3%上昇し、月額153ドルとなりました。この額は、ベトナムのゾーン1(ハノイ、ホーチミン近郊のエリア)における2017年度の最低賃金である月額約168ドルよりも10%程度低い金額になります。

かなり暑くなってきました。現在外の気温は36度です。

先週はセミナーのために日本に帰国していたのですが、折り悪く、滞在中は毎日5度以下と寒く、約30度の気温差に体調を崩しそうになりました。

カンボジアに来られる方は、これからが一番暑い時期ですので、ご留意下さい!

また、来月はクメール正月、タイもソンクランでお休みのところが多く、飛行機のチケットもかなり取りにくい状況です。お気を付け下さい!

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今回のテーマは、労働紛争の解決(その2)です。

今回は、ストライキとロックアウトについて説明します。

1.ストライキ

(1) 総論

労働者には、労働仲裁までの全ての解決方法(前回の投稿をご参照下さい)がとられ、仲裁判断に納得することができない場合、労働者の権利を保護するためにストライキを実施する権利が認められています(労働法(以下、法令名省略)320条)。なお、交渉もしくは仲裁が実施されている間は、労働者はストライキを実施することはできません(321条)。

(2) 手続

労働者がストライキを実施するためには、以下の2つの手続きを行う必要があります(323条から329条)。

以下の手続を経ずに行われたストライキは、違法ストライキに該当します。また、暴力的および非平和的なストライキは、違法ストライキに該当します(336条、337条)。

・   秘密投票による、ストライキの実施に関する労働組合員の承認

・   使用者および労働省に対する、7営業日前の事前通知の実施

ストライキ実施中、合法ストライキもしくは違法ストライキを問わず、出勤していない労働者には、給与を得る資格がありません(332条)。

(3) カンボジアにおけるストライキの取り扱い

ストライキの適法性は、労働裁判所が存在しない現状、民事裁判所がその判断権限を有します。

使用者側は、違法ストに対抗するためには、訴訟提起・違法ストライキ禁止の仮処分を起こさなければならず、それには一定の時間・費用が必要となることから、カンボジアでの労働組合・ストライキへの対抗はかなり難易度が高いものと感じています。

他方、使用者はストライキを実施する労働者に対して、いかなる罰則をも課してはならず、ストライキを実施する労働者の入れ替えのために新規に採用活動を行うことは、その事業を維持するために必要な場合を除いてはできないと規定されています(334条)。

2.ロックアウト

使用者が、労働者を職場から締め出す(ロックアウト)場合、これには、ストライキに関する規定が準用されます(318条)。

その他詳しくは、NNAさんでのカンボジア・ビジネス法20回連載(タイ版:2015年4月23日付)で書かせて頂いていますので、詳しくは下記リンクをご参照下さい。

(カンボジア・ビジネス法講座 第20回 PDFファイル)