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ASEANへの進出法務、アジアでの不動産取引の法務サポートの仕事を行っている日本人弁護士が最新情報をお伝えします

Posts from the 労働仲裁 Category

プチュンベンが終わり、次は水祭りが来ます。

11月もお休みが多いのでカンボジアの年末は一瞬です。もうすぐ雨季も終わり、一番過ごしやすい時期が来るので楽しみです。

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今回のテーマは労働紛争の解決手続(組織内紛争処理手続・調停手続・仲裁手続)です。

1.紛争の種類

労働紛争は、集団的労働紛争個別的労働紛争に分けられます。
前者は、紛争の相手方が一団の労働者との間の紛争を言い、後者は個別の労働者との間の紛争を言います。

2.個別的労働紛争の場合

個別的労働紛争が当事者間で解決できない場合、紛争当事者は調停による解決を求めることができます。
この場合、当事者は労働監督官に調停の実施を求めることになります。

調停によっても解決しない場合又は調停によらない場合における紛争解決方法としては、(労働裁判所が未設置であるため、現在のところ民事裁判所に対する)訴訟提起が考えられます。

3.集団的労働紛争の場合

個別的労働紛争が当事者間で解決できない場合、調停以外の紛争解決方法を採用する旨の合意がない限り、次のステージとして、調停による紛争解決が図られることになります。

調停が不調に終わった場合には労働仲裁手続が採られることになります。

その他詳しくは、NNAさんでのカンボジア・ビジネス法19回連載(タイ版:本年4月8日付)で書かせて頂いていますので、詳しくは下記リンクをご参照下さい。

(カンボジア・ビジネス法講座 第19回 PDFファイル)

昨日は僕がカンボジアに来てから一番の豪雨でした。

今朝出勤時周りを見てみると、床上浸水している家、していない家が見受けられました。

カンボジアはパッと見フラットなので、普段はどこが低くて、どこが浸水するかは分かりません。不動産の購入・賃貸を考えられている方は、こういう時のチェックが大事なのかもしれません。

今朝はカンカン照りで既に道は乾いています笑

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今回のテーマは、無期労働契約の終了(その2)です。

前回は最後に「正当な理由」に基づく解雇についてお話ししました。

そこで、「「正当な理由」がない不当解雇については解雇が無効とされる」とお話ししましたが、今回はその際の権利関係(この場合においては使用者がどのような義務を負うか)についてお話しします。

1.損害賠償請求権

労働法91条1項・2項によれば、労働者は、不当解雇された場合、使用者に対して、事前通知に代わる補償金・解雇補償金とは別に損害賠償金の支払いを求めることができます。

そして、賠償金の額は解雇補償金と同額と推定されます(同条3項)。

解雇補償金の金額ですが、これは勤続年数により異なり、6ヶ月以上12ヶ月以下の場合は7日分、12ヶ月を超える場合は、1年毎に15日分最大6ヶ月分の賃金及び付加給付の相当額の合計金額となります(89条1項)。

*12ヶ月を超える場合において、1年に満たない端数については、それが6ヶ月を超える場合には1年とみなされますので注意が必要です(同項)。

2.再雇用+損害賠償

上記に加え、労働者は不当解雇の場合、使用者に対して再雇用及び解雇時から再雇用時までの期間の賃金相当額の損害賠償請求を求めることができるとされています(詳しくは、JBL3月のニュースレター カンボジア版をご参照下さい。)。

集団的な労働紛争の場合、カンボジアにおける労働仲裁制度は非常にスムーズで裁定が出されるまでの期間は比較的短期間であることから、不当解雇と認定された場合であっても使用者側の損害賠償負担額は大きなものにはなりませんが、個人的な労働紛争の場合には最終的に裁判所で争われることになります。

裁判所での判決にはかなりの時間がかかり、使用者側が敗訴した場合には、使用者側の損害賠償負担額が膨れ上がってしまうことが考えられます。

無期労働契約を締結している労働者を解雇する際には不当解雇と認定されないよう、適切な内容の就業規則の策定・十分な手続保障・証拠収集が必要になろうかと思います。

上記に加え、NNAさんでのカンボジア・ビジネス法18回連載(タイ版:本年3月25日付)では、重大な企業秩序違反を理由とする懲戒解雇・集団的解雇についても書かせて頂いていますので、詳しくは下記リンクをご参照下さい。

(カンボジア・ビジネス法講座 第18回 PDFファイル)

少し日本に帰っていたこともありかなり更新が滞ってしまいました。

7月末のカンボジアの天気はというと、今日は(今のところ)降らなかったものの、ほぼ毎日雨模様です。

個人的には毎日三色外食なので、少し変化がほしい今日この頃です。

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今回のテーマは、無期労働契約の終了(その1)です。

今回もまず、有期労働契約と無期労働契約の違いをおさらいします。
・契約終了時の支払い(有期の場合:退職金、無期の場合:解雇補償金)
・契約終了事由

1.契約終了時の支払い

無期労働契約終了時に支払われる金員は、労働契約がどのような理由で終了した場合であっても発生する有期労働契約と異なって、「解雇補償金」です。即ち、支払いが行われるのは、使用者が労働者を解雇した場合に限られます。

また、使用者は、重大な企業秩序違反行為に基づいて労働者を解雇した場合にも、解雇補償金支払義務を負いません。

2.契約終了事由

無期労働契約における労働契約の終了は一般的に、「正当な理由」に基づく契約の終了、重大な企業秩序違反行為を理由とする懲戒、合意解約、不可抗力による契約の終了とされています。

3.「正当な理由」に基づく解雇

日本においても、正当な理由がない解雇は権利の濫用として無効とされる(解雇権濫用法理)のと同様、カンボジアにおいても「正当な理由」がない不当解雇については解雇が無効とされますので十分注意が必要です(詳しくは、JBL3月のニュースレター カンボジア版をご参照下さい。)。

日本と同様、「正当な理由」と非常に曖昧な文言が用いられている上、カンボジアではまだこの点に関する仲裁裁定・判決の蓄積が不十分な状況です。

従いまして、カンボジアにおいても日本同様に解雇には十分な配慮・慎重な手続が必要といえます。

その他詳しくは、NNAさんでのカンボジア・ビジネス法17回連載(タイ版:本年3月11日付)で書かせて頂いていますので、詳しくは下記リンクをご参照下さい。

(カンボジア・ビジネス法講座 第17回 PDFファイル)

続いていた大型連休が去り、少し寂しく感じます。

もうすぐ6月で日本でもそろそろ梅雨入りの季節ですが、ここカンボジアも徐々に雨が多くなってきています(尚、午前11時半現在35℃です。)。

暑い上に雨も増えてくる季節ですので、観光業的にローシーズンに入っています。
ホテル等がかなりリーズナブルなプランを用意していますので、そのようなプランを利用して、観光に来られてはいかがでしょうか。

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今回のテーマは、有期労働契約の終了です。

まず、有期労働契約と無期労働契約の違いをおさらいしましょう。
1.契約終了時の支払い(有期の場合:退職金、無期の場合:解雇補償金)
2.契約終了事由
大まかには上記の2つが挙げられます。

1.契約終了時の支払い

労働契約終了時に使用者が支払う必要がある金員ですが、使用者は労働者に対し、有期労働契約の場合は退職金として、契約期間中に支払われた総賃金等の5%相当額を支払う必要があります。

上記退職金の支払義務は、労働契約がどのような理由で終了した場合であっても発生します。

これに対し、無期労働契約終了時に払われる解雇補償金は、文字通り、使用者が労働者を解雇した場合に支払われます。

しかも、重大な企業秩序違反行為を理由とする解雇の場合は支払義務が生じません。

前回ご紹介した仲裁裁定において労働者が有期労働契約の締結を望むのは上記のように、有期労働契約であれば、終了時に必ず金員が支払われることもその一因です。

2.契約終了事由

有期労働契約における労働契約の終了は一般的に、契約期間の満了、重大な企業秩序違反行為を理由とする懲戒、合意解約、不可抗力による契約の終了とされています。

これに対して、無期労働契約の場合は、一方当事者から他方当事者に対する事前通知をもっていつでも労働契約を終了させることができます(ただし、日本同様、解雇には正当な理由が必要ですので、その点には十分な注意が必要です。これについては次回以降ご説明させて頂きます。)。

その他詳しくは、NNAさんでのカンボジア・ビジネス法16回連載(タイ版:本年2月26日付)で書かせて頂いていますので、詳しくは下記リンクをご参照下さい。

(カンボジア・ビジネス法講座 第16回 PDFファイル)

色々な書き物が終わり、一連の大型連休も終わって少し余裕ができましたので、会社として色んな企画を考えています。

その一つとして、労働仲裁裁定のデータベースを作成しようと思っています。

今日は一回目として、2015年15号 W&D (Cambodia)事件をお届けします。

 

■労働者側の請求(の一部)

1.無期労働契約を半年又は1年の有期雇用契約に変更せよ(争点1)

2.出産休暇期間中の手当を出産休暇取得前に支払え(争点6)
 

■労働仲裁委員会の判断

1.労働者側の請求を棄却する

2.使用者は、出産休暇取得日の1日以上前に、該当する労働者に対して、出産休暇期間中の手当を支払え
 

■判断理由

・争点1について

(1) 前提知識

有期労働契約の場合、理由の如何を問わず、使用者は契約終了時に労働者に対して、退職金(これまでに支払った賃金等の合計額の5%相当額)を支払わなければなりません(労働法73条6項)。

他方、無期労働契約の場合にも、労働者は契約終了時に解雇補償金(最大6ヶ月分の賃金等相当額)を受け取ることができますが、労働者都合で辞めた場合、労働者の重大な企業秩序違反行為に基づく解雇の場合にはこれを受け取ることができません(労働法89条1項)。
ですので、「有期労働契約の方が有利だ」という労働者は少なくありませんし、最近では日本企業のお客様には、無期労働契約をお勧めすることも少なくありません。

また、本件において、労働者は、契約終了時に使用者が行わなければならない、「未使用有給の買取」を契約条件変更(有期→無期)の理由に挙げています。

労働法は、契約期間中の有給買取を禁じていますが(労働法167条3項)、逆に、契約終了時には、使用者に対して有給の買取義務を課しています(同条2項)。

(2) 判断理由

契約条件の変更には、原則として当事者双方の合意が必要であり、一方当事者の意思のみによってこれを変更ができない、という理由で契約内容を変更せよという請求は棄却されました。
*本件は前提事実が大事なので判断理由に紙幅を割かせて頂きました。

・争点6について

(1) 前提知識

これについても前提知識として、妊娠した女性労働者は、出産の前後に合計90日間の出産休暇を取得することができます(労働法182条1項)。

その上で、勤続1年以上の女性従業員は出産休暇期間中、通常の賃金等の50%相当額を手当として受け取ることができます(労働法183項1項)。

(2) 前提事実

本件使用者は、女性労働者が出産後、出生証明書を提出することを条件に上記手当を支払うという運用を行っていました。

(3) 判断理由

労働法及び労働省令は、上記手当の支払時期を規定していません。

そこで、「使用者は、出産期間取得の1日以上前に手当を支払え」との過去の裁定判断を引用し、上記本件使用者の運用は女性労働者の権利を害すると述べた上で、上記判断を導きました。

出産休暇期間中の手当の支払時期という比較的重要な内容かと思いますので、参考にして頂けると幸いです。