情報

ASEANへの進出法務、アジアでの不動産取引の法務サポートの仕事を行っている日本人弁護士が最新情報をお伝えします

のアーカイブ

今年の始めから手がけていたカンボジア労働法会社法の日本語版が公開されました。

JETROさん ホームページ

皆さんのカンボジアでのビジネスの一助になることができれば幸いです!

取り急ぎご案内のみにて!@シンガポール

続いていた大型連休が去り、少し寂しく感じます。

もうすぐ6月で日本でもそろそろ梅雨入りの季節ですが、ここカンボジアも徐々に雨が多くなってきています(尚、午前11時半現在35℃です。)。

暑い上に雨も増えてくる季節ですので、観光業的にローシーズンに入っています。
ホテル等がかなりリーズナブルなプランを用意していますので、そのようなプランを利用して、観光に来られてはいかがでしょうか。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _

今回のテーマは、有期労働契約の終了です。

まず、有期労働契約と無期労働契約の違いをおさらいしましょう。
1.契約終了時の支払い(有期の場合:退職金、無期の場合:解雇補償金)
2.契約終了事由
大まかには上記の2つが挙げられます。

1.契約終了時の支払い

労働契約終了時に使用者が支払う必要がある金員ですが、使用者は労働者に対し、有期労働契約の場合は退職金として、契約期間中に支払われた総賃金等の5%相当額を支払う必要があります。

上記退職金の支払義務は、労働契約がどのような理由で終了した場合であっても発生します。

これに対し、無期労働契約終了時に払われる解雇補償金は、文字通り、使用者が労働者を解雇した場合に支払われます。

しかも、重大な企業秩序違反行為を理由とする解雇の場合は支払義務が生じません。

前回ご紹介した仲裁裁定において労働者が有期労働契約の締結を望むのは上記のように、有期労働契約であれば、終了時に必ず金員が支払われることもその一因です。

2.契約終了事由

有期労働契約における労働契約の終了は一般的に、契約期間の満了、重大な企業秩序違反行為を理由とする懲戒、合意解約、不可抗力による契約の終了とされています。

これに対して、無期労働契約の場合は、一方当事者から他方当事者に対する事前通知をもっていつでも労働契約を終了させることができます(ただし、日本同様、解雇には正当な理由が必要ですので、その点には十分な注意が必要です。これについては次回以降ご説明させて頂きます。)。

その他詳しくは、NNAさんでのカンボジア・ビジネス法16回連載(タイ版:本年2月26日付)で書かせて頂いていますので、詳しくは下記リンクをご参照下さい。

(カンボジア・ビジネス法講座 第16回 PDFファイル)

色々な書き物が終わり、一連の大型連休も終わって少し余裕ができましたので、会社として色んな企画を考えています。

その一つとして、労働仲裁裁定のデータベースを作成しようと思っています。

今日は一回目として、2015年15号 W&D (Cambodia)事件をお届けします。

 

■労働者側の請求(の一部)

1.無期労働契約を半年又は1年の有期雇用契約に変更せよ(争点1)

2.出産休暇期間中の手当を出産休暇取得前に支払え(争点6)
 

■労働仲裁委員会の判断

1.労働者側の請求を棄却する

2.使用者は、出産休暇取得日の1日以上前に、該当する労働者に対して、出産休暇期間中の手当を支払え
 

■判断理由

・争点1について

(1) 前提知識

有期労働契約の場合、理由の如何を問わず、使用者は契約終了時に労働者に対して、退職金(これまでに支払った賃金等の合計額の5%相当額)を支払わなければなりません(労働法73条6項)。

他方、無期労働契約の場合にも、労働者は契約終了時に解雇補償金(最大6ヶ月分の賃金等相当額)を受け取ることができますが、労働者都合で辞めた場合、労働者の重大な企業秩序違反行為に基づく解雇の場合にはこれを受け取ることができません(労働法89条1項)。
ですので、「有期労働契約の方が有利だ」という労働者は少なくありませんし、最近では日本企業のお客様には、無期労働契約をお勧めすることも少なくありません。

また、本件において、労働者は、契約終了時に使用者が行わなければならない、「未使用有給の買取」を契約条件変更(有期→無期)の理由に挙げています。

労働法は、契約期間中の有給買取を禁じていますが(労働法167条3項)、逆に、契約終了時には、使用者に対して有給の買取義務を課しています(同条2項)。

(2) 判断理由

契約条件の変更には、原則として当事者双方の合意が必要であり、一方当事者の意思のみによってこれを変更ができない、という理由で契約内容を変更せよという請求は棄却されました。
*本件は前提事実が大事なので判断理由に紙幅を割かせて頂きました。

・争点6について

(1) 前提知識

これについても前提知識として、妊娠した女性労働者は、出産の前後に合計90日間の出産休暇を取得することができます(労働法182条1項)。

その上で、勤続1年以上の女性従業員は出産休暇期間中、通常の賃金等の50%相当額を手当として受け取ることができます(労働法183項1項)。

(2) 前提事実

本件使用者は、女性労働者が出産後、出生証明書を提出することを条件に上記手当を支払うという運用を行っていました。

(3) 判断理由

労働法及び労働省令は、上記手当の支払時期を規定していません。

そこで、「使用者は、出産期間取得の1日以上前に手当を支払え」との過去の裁定判断を引用し、上記本件使用者の運用は女性労働者の権利を害すると述べた上で、上記判断を導きました。

出産休暇期間中の手当の支払時期という比較的重要な内容かと思いますので、参考にして頂けると幸いです。

クメール正月も明け、次は王様の誕生日(5月13から15日)休みを迎えます。
土日を繋げれば5連休です。 

IMG 0285

*カレンダーも王様の写真(参考:Wikipedia − ノロドム・シハモニ

色んなところでも叫ばれていますが、カンボジアはホントお休みが多いですよね(今年は27日間)。

 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _

今回のテーマは、懲戒処分です。

まず、懲戒処分を行う上での原則として、
1.懲戒処分の種類及び懲戒事由を就業規則に(詳しく)記載すること
2.懲戒処分は労働者の企業秩序違反行為(遅刻、命令違反等の総称です。)の重大性に比例したものでなければならないこと
(労働法27条)
3.懲戒処分の期限が決まっていること(労働法26条)

を挙げさせて頂きたいと思います。

・就業規則が存在しない場合には、懲戒処分は戒告・けん責・6日以下の期間の停職・事前通知のある解雇・即時解雇に限定されます(労働法31条)。同条より、その他の処分を定めたい場合には、就業規則への記載が必要になるものと解釈されます。

・また、懲戒処分については争いになるケースが多いため、それを避けるためには、懲戒事由を就業規則に明示し、それに則った運用及び証拠収集(更には労働者代表・労働監督官の立会)が重要となります。

・懲戒処分の期限としては、解雇処分以外については懲戒事由発見時から15日以内(労働法26条1項)、解雇処分については7日以内とされていますので(同上2項)、注意が必要です。

その他詳しくは、NNAさんでのカンボジア・ビジネス法15回連載(タイ版:本年2月12日付)で書かせて頂いていますので、詳しくは下記リンクをご参照下さい。

(カンボジア・ビジネス法講座 第15回 PDFファイル)